2017年03月31日

藍染めの小判

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紙漉も落ち着かない合間を縫ってやってます。
3年振りに藍染めの小判。
小判は毎年暦の為に漉くので、なんだかんだで2千枚は漉いている。
A3サイズより少し大きめの耳付き。
若山楮を抱え始めた頃から、この小判で7枚綴りで手書きを始めた。
年々漉く時間がなくなってきてて、楮栽培に持ってかれてるこの頃。
お客様の「出来た時でええよ」という寛大な注文も後回しになってるここ数年。
新しい工房できましたからね!
もう本気で漉かないとまずいんですね!
私、楮農家ちゃいますねんね!
だけど、原料のことで10年近く学んだ事は大事で、それをしての紙漉きせんとね。

漉く時に少し多めに漉いて暦に使った後は「在庫してます」という・・いわゆる暦がサンプルとなる案配。
近くの山や川縁で採取した植物で漉くのは本当に淡い色。
布のように金属媒染すると、その金属が紙の中に残ります。
金属が経年劣化する御法度の紙。
布のように糸のように洗うということができない。
一発で染めて、しかも水の中で漉くので・・・。
塗れてるうちはかなり濃く染まってる様に見えて。。。
これも布や糸と違うのは・・・思いっきりお日様にて板干しするので(笑)

ここんとこ久し振りに漉いてる藍染めは、良く調べて買ってる藍液ですが。
漉いてる時は、深く沈殿して行く様な濃い色で。
漉き舟の中は紺碧の海みたいで。
これだけ蒼いんだけど、仕上がったら浅葱色に近いと思う。

ここんとこ「藍染め」ないんですか?のお客様が多くて(笑)
いや、ほんと、ちゃんとした藍染めやるなら藍を育てて自分で建てないとって思う。
色ってなんだろう?
良く染めるには実は雑味のない極上の「白皮」。
が。。。
この白皮加工の大変さを経て、それでも水質で変わる染め具合で。。。
こんなに手をかけて「白く」したのへ「色」を吸わせるときの・・・あれ〜!!みたいな(笑)
家は井戸水で硬水でアルカリが強くて、櫻染めもくすんだ色になるのです。
今度の工房の山水の水質調べないとな。
調べて、あれ〜っとなってもそれでやっていくしかないんだけど(笑)

弁柄染めで良く染まる(見本の布の半分以下になるのが紙なので引き算で)
濃くて発色が良い紙から売れて行く。


食べる事もなるべく足下って思うので、染料もなるべく身土不二なんだけど。
買ってる濃い色が受ける事を今日は考え考え漉いてた。
淡い色はだめなんだろうか?
自分の技術が足りないからなんだろうか?
ここらには、腐るほどの臭木があるのにねとか。
臭木の実で蒼出せるけど。。。とか。
布相手の染織家に聞いても紙への応用は限りなく薄い(笑)

売れる物を創ることと、自分のこだわりの境界線を今日は凄く感じながら漉いてました。
朝からかなりの垂直の雨。
マイナスイオンたっぷりだと思考は前向きに、しかも妙にハイテンションにはならず中庸的に。
夕方・・・。
ま、今日はここまで。

小判は慣れて来てるので、大きい紙に比べると「考え事」ができます。
染めの事、原料の事、工房の引越の事、これからのこと・・・。
一定のリズムキープが大事な紙漉きならではの思考とのやりとり。
雨だったからね、できたとも言える1日でした。
タグ:草木染め
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2017年03月28日

心の薬

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新しい工房の完成検査も終りました。
まだ、やることが残ってるので移れません。

今年に入って全くと言って良い程漉いてない。
此処数日寒いとはいえ、もう冬は逝ってしまった。
流し漉きの日々は後僅か。
春の畑作業も始まるし、何よりも三椏や楮の蒸し剥ぎラストも残ってる。
どれもこれもが生仕事で、始めたら一気にやらないとボツになる。

ここんとこもうかなり、かなり悶々状態です。
漉き始めれば、アレができない、コレもできないとなってるから。
仕事に手を出せないでいるんですね。
これは相当に辛い事。

もう見切り発車でもなんでも良い。
漉き始めました。
我が家の工房の竃も最後の仕事で、楮を煮ています。
もう原型留めていない竃。
18年間ご苦労様でした。
羽釜自体は外に竃があった時代からだと23年です。
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三椏は新しい工房の方で待ってます。
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仕事しながらの引越ってどうやったらええのか、もう考えても判らない(笑)
なるようにしかならんです。


久し振りに漉き始めたら。。。
深い溜め息というか・・・。
ここんとこの諸々苛々緊張が溶けて行く。
私には紙を漉く事が一番の精神安定剤なんだと改めて想う。
紙仕事は何よりの心のお薬です。
1日も早く落ち着けます様に!
タグ:手漉き
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2017年03月20日

井上鉄工の仕事

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高知県西南地方。
足摺まで1時間。
来た事が無い人はトロピカルな南国のイメージだと思う。
ところがどっこい、国道からちょい入れば雪こそ年に数回しか降らないけど早朝はがっつり霜。
海、国道、数歩も歩けば山という環境です。
寒暖差がとても大きくて、だからこその園芸県。
と、言い訳長くなりましたが、今回の工房の暖を考えたわけです。
工房での竃は全部薪を使うから、その流れで暖房も薪でやりたいし、この工房の周辺は「伐らないとあかん」
樹だらけだし。
ガソリンスタンドへはどっちに走っても片道15分。
高齢者集団なんで灯油代半端ない。
あ、長くなりました。

念願の四万十町の「井上ストーブ」入りました。
お父さんと息子さんで搬入設置。
しながら色々話せました。
「薪ストーブは楽しいし、えんやけど、薪の調達というハードルでなかなか伸びしろ拡がらない」とお父さん。
うん、すごくすごく判る。
薪がなかったらタダの鉄の箱。
そもそも「薪ストーブ」という発想は南国高知にはない。
海から3`の築50年の家の床めくったら「囲炉裏」跡が出て来た。
「まあ、寒い言うても皆家にじっとしてないから、夜に3時間程焚くって感じよね」
あ〜鋭いねえ。
しかし、若山楮は2ヶ月がっつり一日中です。
「薪入れる人決めておかないと入れ過ぎて大変よ」というアドバイスも蒸し剥ぎの竃で経験済み。
だからガラス窓にしてもらった。
決しておしゃれを目指した訳ではなくて、ストーブの中を見える様にしないと危ないという事。

今は伽藍堂です。
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これから順次紙漉の道具が入れば空間は全く変わるけど。。。
広い工房の中に鎮座してるストーブの存在感。
自分達が快適に暖かく仕事するには・・・薪が必要。。。。ならば伐って来よう。。
結果周辺の山の姿が変わって来るはず。
そういう意識が過疎問題には大事だと思うよ、って私は思ってる。

無理難題をお願いした釜の蓋。
「鉄ってのは錆びるんだ!」

錆び止め塗るけど錆びるよといわれた。
鉄錆御法度って言われる紙の仕込みなんだけど。。。
ステンレスなんか無かった時代どうしてたの?って思う。

私があーでもない、こーでもないって言うと。。
「重たいよ?かなり重たくなるよ?」ってお父さん。
「でも、今使ってるのは全然ダメなんよ、それに立ち位置が全く違うから持てる!」
で、来たのがコレ。
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取手のバランスが最高。色も黒しか想像してなかったら、こんな微妙な心憎い色!
持てるか?と心配そうだったが、がっつり持てた。
壁がない竃なので吸い付く様な蓋に惚れ惚れ。

頑丈、機能、これは当然だけど。。。
センスだよなあ。。。

ということで現場は終了してますが、予算無くての建具のニス塗りを黒潮町応援しんさんの手借りて続行中。
建具にニス塗りしながら「この大きなガラス建具の掃除やらないとねえ」と溜め息。
工房内、外、この出来立てをどこまで維持出来るかは掃除に係ってる!!
だからニスが1滴、桟に落ちても拭き取る。
後々の掃除の事考えて。
先週までは作業の動線のことで頭パンクする程でしたが。。。
こうやってニス塗りすることで、「日々」の何気ないことにまで頭が行く様に。
あとひと息です。

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2017年03月16日

工房建設ラストスパート

3日ぶりなんですが。。。足場が外されていました。
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道路側。
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川側。
建具が入りました。
トタンの屋根、壁面も悩んで相談しいしい決めた色。良いです。
色はほんとに大事で大きな壁面になるほど大事だなと今回。
中から見るとこんなん。
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入り口です。
木のドア。

年間で一番寒い時期に根を詰めた作業を平均年齢75歳がやります。
そこへ、若い人達も参加するし一日中ここでがっつりやります。
雨風凌げれば良い・・・・のかもしれない。
だけど少しでも心地よい場所なら人手の無さも「あそこで仕事するのは気持ちええよ」と噂になってほしい。
人が集まりたくなる場所にしないとって思った。
誰だって農具置き場みたいな倉庫でやりたくない。
しかも低賃金だし(笑)
誰だって気持ちよいほうがいい。
金無し、若者なし、地域に関心無しの無い無い尽くしに、「これから」の拠点を創るなら。。
デザイン、とても大事だと思うのです。
凄〜く大事だよ。若い人達に過疎へ来てもらいたいならデザインはとても大事!きっぱり!
頑張ったんだけどね〜それでも今回随分と割愛になりました(笑)
ほんとに土台だけって感じだけど、ここから始めれば良い。

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左官トリオ頑張りました。ほんとにありがとう。
前回予算が尽きて煙突が買えず、苦労したのを覚えてて、立派な煙突つきました。
今だから言えるのですが。。。煙突の足元から炎が上がったもんね、一発目(笑)
何事も「最初」は完全じゃない。
いや永久に完全てないんだと思う。

そして今日嬉しい報告!
無事山から水が流れましたよ!と。
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ああ、どっとどっとチカラ抜けました。
井戸水生活はポンプアップだからスイッチ押せばジャーと出る。
そんな生活24年。
まあ、蛇口ひねれば出る的な暮らしです。
それが高い所から水を高低差だけで引っ張って来ることへの不安はとてもあった。
そんなこと自分がやるの初めてだからねえ。
メンテナンスも、男友達のブログとか見てるとかなり腰が引いてた。
真冬に詰まった取水口へ行く為に川を胸まで浸かって渡る。。。いや私絶対出来ない。
延々と道なんかない山を何`も上がるとか。。
実際この工房の上で水採ってる人は10`上!年に数回行くよ〜とか。。
上等な水は欲しいが、できないことはできないという矛盾をワアワア言うてる私見て。。。
見事メンテ最低限を架設してくれました。
日頃から「欲が深すぎるんじゃ、身の丈にあったことせい」って言われてる。
だからね、今回は「山の中行けません〜」という身の丈にあったことを言ったんだ(笑)
それで「やれませんね〜」なら諦めたかもしれないけど。。
まあ相当に諦める気なかったからねえ私。
一番頑張ったことはこの黒パイプを通ってくる山水のこと言い続けたことかもしれない。
勿論井戸水は良いです。
夏はキンキンに冷たくて冬はお湯みたい。
冬の紙漉き楽でした。
「山水は冬は半端無く冷たいぞ!」と今から脅されております。

無理難題を受けて頑張って下さった担当の方々。
いやもう本当に無理ばかり言いました、ごめんなさい。
でも、ありがとうございます。
必ずや、これで良かったという結果出して行きます。
実は完成してからが大変なんだわ(笑)
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2017年03月13日

ソフィー

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2001年の12月から3ヶ月家に紙の事勉強にベルギーから来たソフィー。
今日思わぬご縁で16年振りに再会しました。
5年前から知り合って、嬉しいお付き合いをしてくれてる土佐清水のアーティストの小高良作君が連れて来たのです。
彼の噂はだいぶ前から知ってたけど、出逢いはやはり若山楮に参加してくれてから。
そしてソフィーとはヨーロッパでの個展でやはりご縁が重なっての出逢いをしてて。
8年前に流暢な日本語を話すソフィーから私の事も聞いてた。
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そのソフィーが来たのです。
16年という時間を今日はとても嬉しく感じました。
まだ30そこそこのソフィーと40そこそこの私。
毎日宴会状態の中で静かに仕事するソフィーでした。
今思うと、あーすれば良かった、こーすれば良かったって思う事もあって再会するまでの数時間後悔もあってとても緊張したのです。
だけど、逢って今やってることを互いに話し、私は完成間近の工房を見てもらって。
「みーちゃん、良かったね、よかったね。とても嬉しいよ」と。
私もソフィーが野菜を作って生活してると写真集も見せてくれて、自然農法で美しい畑の姿や電気の無い暮らしをしてる風景の美しさに、「良かったね、良かったね!」と。
一瞬で溶けて、かつて一緒に生活してた頃に戻った。
多分話し込んだら何日も必要。
旅をして、日本が大好きで、でも日本の変な所も結構見抜いててソフィーはビジョンを探してたんだと
今になって思い至る。
野菜と果物があれば幸せな人だったと想い出し
今はそれを自ら育てて暮らしてる。

お互いに一番好きな事(決してらくじゃないよとソフィーは言う、そういうところも彼女らしさは変わってなかった。日本の人はなんでもっと問題点を言わないのかなあって言ってたなあ)
で生きてることへの「良かったね!良かったね!」なんだと思う。
いやもう、喧嘩もしたし、泣きながら互いの思いを言葉の壁もありながら鼻水、涙でやった16年前。
今日はそれでもこうやって再会できた。
次はソフィーの畑を本当にこの目で見たいと思うよ。
とても調和のとれた美しい畑。
小川が流れてて子鹿も来る畑。

16年の間に辛い事も一杯あったと思う。
私もあった(笑)
だけど今、今のこの時点で一番好きな暮らしができてることは言葉なんかでは尽くせなくて
この今の大事さをとても嬉しく分かち合えたって私は想う。
頑固でやりたいことがはっきりしてると物事との人との衝突もある。
それは辛い事なんだよ。
本人が望んでそうなるからじゃないから。
それでも、そういう流れに逆らうことなく、ようやく自分の足下ができたのかなあって思う。

そして良作君との不思議な不思議なご縁です。
出逢うべくして出逢うってこういうことなんだと思う。
自らも楮を育て紙を漉き染めの技法を使って作品を創る暮らし。
彼の仕事は日本より欧米の方が高く評価してる。
そんな人が高知の西のはじっこの山の中にいる。
ファーマーになったソフィーは2月3月くらいしか旅する時間がないというのに。。。
こんな端っこに。
まさかの良作君に連れられて「土佐入野」って駅は良作の家とどれくらい?と判らなかったらしく。
今日逢えて「ああ、そうなんだね!」

来年若山楮10周年なんです、開墾から言うとね。
私の中で大きな節目と思ってたら。。。
ほんとに、ほんとに大事なことが向こうからやってきます。

タグ:居候
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2017年03月11日

塵も積もれば的作業終了。

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1年とひと月でやっと消化。
写真の薪の上の白っぽい大木は楮の御神木。
芽吹きが近くかなり膨らんでます。それ見て焦る気持ちで薪積み。

ここんとこの私の話は「薪!薪!薪!」でした。
今日は3・11。
薪ストーブを始めたのも震災の後だったと思う。
風呂も紙仕事も薪なのに、居候が多かった頃なんで薪ストーブしなかったんだろう?って思った。
男手沢山あったのにね(笑)
当時は石油ストーブとなんとホットカーペットだったし、パンは「電気」オーブンだったし。
きっかけは友人夫婦が滞在中に裏山の切りっぱなしの大量の雜木を「薪」にしてくれたのでできたのだ。
2年くらい持ったと思う。
が。。。なくなってからは一人で調達するのはやっぱり大変だった。
今回は実に多くの友人達のお助けがあってできたことです。
人生ここまでの量は生まれて初めて。
これ全部、今ラストスパートがかかってる高速工事で出る「産廃」でした。
一体この何十倍、いや何百倍出てるのだろう?と思う。
工房が建つ場所は田畑どころか、山も荒れて来てる。
「次の薪の心配はせんで良い。ここらの樹を伐った方が良い」と長老達は言うが。。。
確かにそうなんだけど、「手」がない。
そこら辺をどうにかしないとなあ。
震災でライフラインが止まることへの恐さと想像以上の問題。
家は井戸水だけど電気が止まったら水を汲み上げる事はできない。
今回工房を建ててもらう上で「火」と「水」のこと無理を承知で今時こんなことするの?をお願いした。
今日、現場では無事山からのホースが繋がっていた。まだ水は流していないが。
川向から実に頑丈に渡してもらってるホースを見て感慨深いものがあります。

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工房の外壁作業が始まり、思ってたより可愛い感じ。
ハード面を作って貰ってる間、自分達はソフト面である薪を積む、積む。

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最後は割ってないでかい丸太を撤収して積んだ。
ふらりと様子見にきた、げんさんが「積む技」を私と番頭にレクチャー。
これらは、やっと来た薪割り機の試運転用に。
どれだけ威力あるのか?8トンで縦型。
今の所近場では誰も持ってない。
皆25トンクラスの縦横兼用。
同じの持っても芸がないから(笑)シェアー考えて異色のにしました。
いい加減薪の話を終わりにした所ですが。。。薪割り機使ってみてが今年のラストになるかな。


こんだけあれば、何が来ても大丈夫。
大きな羽釜と平釜も竃に納まり、じき煙突が立ちます。
薪でご飯と味噌汁の炊き出し可能です。
あとは電気の問題はソーラーじゃなくて小水力発電を考えたいです。
この間のアスクルの火災事故の報道見ててソーラーパネルの問題やっぱりあるやんと思った。
枯れた事が無い川ならば水で発電の方が絶対良い。

集落活動センターの設備というか作業場なんだけど、何気に防災機能備えてますのよ!
作ってみせないと誰も本気にならないからなあ。

予定してた訳じゃないけど、今日という日に終って感無量。
薪暮らしを本気で考えたのが6年前の今日でしたから。
6年前は自分の事だけだったのが、こうやってもう一歩先へ進んだことが。。。
まるで狐につままれた感じです。
タグ:防災
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2017年03月10日

長太の成長

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長太には「お座り」「お手」みたいな芸事教えてません。
なんか好きじゃないのよなあ、ああいうの。
今年の冬には5歳になる長太。
目の表情が豊というか・・「目で語る」と長太ファンは言います。
犬はじっと見つめられると目を逸らすのが普通なんだけど、結構長く目をまっすぐ見ます。
これは主が相手の口元を見るのと同じなのかもしれない。
口元、目線、表情、しぐさ、時には顔の筋肉まで人は言葉以外で実はそうと知らず情報を発してる。
なので言ってる事と本心が違うと混乱する訳です。
言葉が話せない長太は目で話す。
小さい鳴き声が聞こえない私には甘えた声も届かない。
なので、正面に回ってきちんと顔見る癖がついてます。

最近会得した技。
膝に顎のせておねだりをするという。。。かなりの主殺しの必殺技をば。

と・・・書いてたらすり寄って来ました。
炊飯器を見ると炊けたランプが。。
え?「ご飯炊けたよ!お腹空いたよ!」なのか?
さっきから「もうすぐご飯炊けるから」って言ってたので。。。
スイッチ音が聴こえないので長太が聞きつけてすり寄って来たのか?

実は風の強い日は家の中に居たがらない。
家の中の建具がかなりの音を立ててるらしい。
普通の人なら五月蝿く感じるんだろうが、私は気がつかない。
恐くてたまらん長太は車へ避難させろと訴える。
車程安全な所はないと思ってるらしい。
今日も一日車の中でまどろんでました。
音に敏感な長太と聴こえてない私との生活は毎日発見がある。

日が長くなったねえ!
薪ストーブ終了の日も近いねえ。
今日は絞り切って焚いてるけど・・半袖です。
石油ストーブみたいな微調整なんかできない安物ストーブなんで。。
風呂もアッちゅう間に沸いてしまった。
年度末作業もこれからの資料提出もほぼ終了。
今夜は月末からの色々の段取りを練ろうと思う。
暑過ぎて呑みすぎない様に要注意。
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2017年03月08日

山水

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今日行けば壁の断熱材が入り、かなり進んでました。
左官屋トリオはお休みで、電気工事、外壁工事、大工さん達がワサワサ。
設計士の今西君も来てて、細かい色々を決める。
例えば、照明の位置、水のバルブの位置、本当に色々。
設計の段階でかなり決めたつもりで、あとはお任せ〜ってなるのかと思えば。。。
バルブの高さひとつとっても最終確認で微妙に変わって来る。
照明を決めるのもカタログ片手に変更が出る。
極力夜は仕事しない方向だけど、なんせ年配者が多く、手元大事な細かい仕事。
紙漉もそうなんだけど、蛍光灯はダメなんです。
自然とは言え白い楮。
反射してしまってやりにくい。
今の工房は西向きに漉き舟で、太陽が回るので光が一日で大幅に変わってしまう。
だから北向きに漉き舟、天窓からの採光。
そんなこんなを説明しつつ、自然光ってなんだろうねえ、どこが違うんだろうねえという話にもなったり。
普通の家なら「見た目」とか「暖かい感じ、クールな感じ」という印象で選ぶのかもしれない。
だが、ここは作業場。
しかも年寄りばかり。
仕事ができればそれで良い!では済まない、体験というハードルがあり、あまりにも殺風景なのはヨロシクない
縦横無尽な発想とネットワークが生まれて欲しいから、仕事が終ったあとも楽しめる空間に。
小ちゃい箱ではみ出しそうだけど(笑)

これはどうしますか?色どうしましょう?とか八方から言われて少し有頂天になってしまった。
ああ、自分の家を建ててもらうってこういうことなんかあと。
疑似体験させて頂いてます。

さて大工のみんなが現場に居ないなあと。。。

今回みなさんがあまりやったことのない工程に「山から水を引っ張って来る」というのがあります。
若い棟梁さんは、予め決まってた事や指示が出てる事でも、あれ?これはこーした方が良いんじゃない?と
提案してくれるし、聞いてくれるし、先回りして最良の選択もしてくれる。
「タンクの据え付け位置」決めましょうと山へ。
まず有り難かったのは私が考えてたのは黄色いタンク。
ほなら「水垢とか考えると黒が良いって聞いたので黒買って有ります」と。
ただし熱湯になるかものと言うけど、どの道黒パイプの中の水は熱湯になるからね、一瞬。
これは井戸水だって同じだから〜と言うと「良かった」って。
で、取水口へ遡ると大工さん達居った!
このエリアはとにかく水が豊か・・過ぎるのでバイパス工事の際に山を削ったためにあちこちに頑強な治水工事がなされてる。
勿論コンクリの護岸工事やトンネル。
水を取るのはそういうことがない上の自然で、かつて下の集落を賄ってた川から。
だけど、少し下から黒パイプは工事のおかげで護岸やトンネルに伝う事ができます。
メンテナンスを考えると道亡き山の中や蛇行する川を延々と行くのは私には無理で、このラインを。
大工さん達は真っ暗なトンネルでパイプを固定する作業してました。
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これで棟梁が心配する「大水が出た時のパイプの暴れ」は最小限に食い止められるはず。
「こんなこと仕事でやったことないよねえ、ごめんねえ」と言うと笑ってた。
だけど今回色々情報を集めたらしいのよね、ありがとう!って思う。

薪ストーブがあり、薪はこの分だと5年分はあり、枯れたことが絶対ない川からの水があり、大きな竃がある。
山の中の紙の作業場は、ライフラインを全て足元から供給してるという安心感。
いずれは小水力でちょっとしか使わない電気の発電もできると思うし。
いつになるやらわからないけど、耕作放棄地はたんまりだから、米や野菜の自給も充分可能性はある。

やっぱり写真少なくてごめんなさい。
見てるだけでお腹いっぱい。
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2017年03月07日

自然光

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この家は南を向いてて、集落で一番高い所にある。
今朝は少し寒い。
そんな春近くの朝陽が私は好き。

昨年の11月から大物が続き、そのまま収穫作業に雪崩れたので加工部屋は「あかずの間」と化していた。
今年の仕事は自分から売り込む柱を2本しっかりやるという基本に戻る。
かなり前からお待たせしてる分もあと2つまでになった。
薪作業の山が地面が見える所まで来て、やっと加工部屋の大掃除。
これまた薪と同じで果てしない感じだったが、少しマシに。
「漉き場」は来月には引っ越すが、予定してた加工部屋は現時点で無くなったも同然なので、これから頭を悩ませることになっていく。

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紙を保管する棚は、これの他に2つと箪笥が2つ。
カットした切れ端も捨てられない性分。
これも、今回相当に処分した。
ゴミ袋へ入れる気にならず、薪ストーブで少しづつ燃やした。
切れっ端だが、見れば「あああのとき漉いた紙だ」と判る。
ど忘れ、ボケが相当進んでるこの頃なのに、紙は見て触ればこの24年の全てがちゃんと記憶されてるので
我ながら呆れる程です。
痴呆症になっても紙の事だけは忘れないんじゃないかと思う。

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2017年03月05日

次へ行ける

明日雨予報の日曜日。
番頭を引っ張り出して薪の片付け。
たまたま、超お久しぶりの友人が(若山楮にとって最初の最初に助けてくれたお人)がふらりと先週来た。
風呂は薪でよ〜。って言うから。。。
あるある!とやったら今日来てくれました。
なんと片道1時間を3往復して運んでくれた。
おかげで、いつ終わるともしれない山がみるみる減った。

あげるよ〜と押し付けがましく頼んでた友達も取りに来てくれて。。。
思いのほか積むのも考えて上手にやる番頭にも感心したし。
トタンを被せたら案の定雨です。

明日降ってなかったら、最後の木っ端など片付けたら本当に終る!!
塵も積もれば的な作業の最後に3人が来てくれて・・・・。
今回どれだけの友人達に助けられたかと感無量。

これで、頭は次へ行く事ができます。
山を崩す様なやり方では田舎暮らしは無理よと以前言われた事がある。
都会もんは事務作業みたいにやるからなあって。
確かにそうだなあってやってきたけど・・・・。
季節の仕事だと後回しにすると翌年なんよね。
やっぱり仕事の山は崩すやり方しかなくて、塵も積もれば的な目眩することも多いけど。
地道にやるのは結構気持ちも良いもんだ。
願わくば次の薪は4トントラック2台が有り難いとは思う。

今日はブヨが凄かった。。
暖か過ぎだよ。参った。
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2017年03月04日

屋根葺きが始まりました

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まあ、倉庫みたいなもんだよ。と思ってた私。
先日行けば屋根が始まっています。
見ると、熱をある程度遮断するようになってました。
農機具を入れて置く倉庫とは違う事が段々判って来ました(笑)
ここは倉庫ではなく「工房」で、体験もやるとなると一年中稼働するから、真夏もあり得るのですね。
今の自分の作業場は壁は1枚の板ですが、屋根は昔の土の上に瓦ですから、夏でもひんやりです。
どんどん、どんどこ進んでます。
しかし、なんせ職人さん達やったことのないハードルが多く。
薪作業に行けば次々と質問が来ます。
これが面白いのですね。
良い仕事される人は素人の無茶苦茶な考えを笑顔で聞いてくれると判ってきました。
決して眉間に皺も寄せず、穏やかな口調であります。
私には絶対無理な分野ですね(笑)
なので、安心して無茶苦茶言ってます。
物作りの大事なポイントに「お客様の言葉を聞く」ということは判ってたけど、穏やかに接するということなんだなあ・・・。
来週は最大の難関の山の水を引くということが始まります。

左官屋トリオが復活して3人で再開。
タイル屋さんは水槽を仕上げております。
雪もなく、楮を拡げるだけの川幅もないので、水槽で晒すのでタイルは白。
「目地は黒が良かろう!」と言ってもらえて流石だなあ。
目地の汚れは覚悟してたから。
当たり前だけど、ちゃんと水栓が着いてるだけで小躍りしちゃいます。
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そして竃もいよいよ。
前回の若山楮竃第一号は制作が早く内部を見る暇がなかった。
修行でお世話になった親方が廃業されて釜が取り除かれて、生まれて初めて内部を見たのが8年前。
外から見ると四角い竃ですが、内部は全く違ってて、炎が釜の底を舐める様に動くように作られてました。
甑を貰った大豊の原始的な竃も炎が回る様に作られてて、左官屋棟梁は10年前に同行して感動してた。
第二号であります。
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このあと作業が続いてもう中は見えなくなります。
次に見る時はここが解体されるまでであります。
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最大の焚き口です。
膨大な薪割りをしてて思うのは・・・そんなに割ってられないっ!
かなり極太も突っ込まれる想定。
もちろん、細い薪とのセットで火力はキープしますが。。。
杉や檜ならかなり太くても問題ないです、ただし!丸太は蒸し剥ぎではNGですが。
これだけの焚き口であれば大丈夫。
そして鋳物の蓋なので曲がる事もない(笑)

そろそろ紙漉も再開せねばならず・・・。
まだ軽トラ10台分くらいの薪が残ってて・・・終らない。
昨日は無理矢理友人とこへ持って行って押し付けた(笑)
明日で目処立てたい所です。
40aに切って割ってある杉、檜の今は少し湿気ってるの欲しい人居ないかなあ。。
もうすっかり春めいて売れ残りですやん。
posted by ハレハレ本舗 at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 若山楮工房@黒潮町

2017年03月02日

文旦

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今年は文旦が豊作みたいです。
つい先日コンテナに山盛り2つも、塩の社長から頂いた。
完璧に無農薬!
「売れるじゃん」というのに「欲しい人に配るからええっ!」と本当に配ってる。
豊かだなあ。。。。
美味しかったので、お得意様や友人に送ると大喜びでした。

自分の分に残しておいた最後のひとつを食べ終わった夕方・・・。
えらい久し振りの方がやってきた。
なんとこちらも文旦!
しかも今日スーパーで二の足踏んだブロッコリーも(笑)
長太がまだ来てない頃以来だったのに、ちゃんと鹿ジャーキーまで。
毎度長ったらしい私のブログを読んで下さってたのですね。
一人と一匹は小躍りです。
で、お返しもないしと積もる話してたら、風呂の焚き付けが減って来てなあ。。と家のストーブ見て言う。
おお!あるよ!あるよ!ということで、お返しができるじゃーないか。
そろそろラストスパートになってるのだが、積む場所が厳しくなってる。
あちこちに「上等じゃないけど要らないか?」と声かけ始めてます。
今日のお客さんが「じゃあ、チェーンソー持っていくか!」というから。。
もう40aに切って更に割ってあると答えると、しばらく目が点。

これ以上雨ざらしにして腐らせたく無い。
欲しい人順に片付けますよ〜。

今日は風が強くて少々寒さが戻ってますね。
薪ストーブガンガンで・・暑い(笑)
やっとこさ、下の加工部屋も片付けて、いよいよ紙漉再開です。
掃除すると人が来るというジンクスは当たってるなあ!
posted by ハレハレ本舗 at 20:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年03月01日

リニューアル満載

今日はショップのリニューアルにつき少量だけど紙の博物館へ納品に。
http://kamihaku.com/product
以前の大判の紙はスティール製の紙入れだったのが、木製の什器に変わってた。
これ、ええなあ、高いでしょ?「うん高いよお!」と。
店内は明るく、動線も綺麗にスッキリした感じ。
30年近くやってこられてのこのリニューアル。
それからしたら、今の自分はなんと有り難いことかとしみじみ思う新築である。

もうひとつ、高知県立美術館ミュージアムショップも変わるらしい。
次は美術関係の書籍がメインになるそうで、金光堂が手がけるらしい。
これはこれで、楽しみだな。
年度末。新しい動き。なんだかこちらまでソワソワしてくる。
今日から3月です。
は・や・い!!

夕方帰りに作業現場へ立ち寄ると、職人さんが沢山立ち働いてた。
いつもの左官屋3人トリオは棟梁ひとりで、竃を始めている。
夕方になると冷え込んで来た。。。
「はあ、今日は疲れたなあ」と棟梁。
トリオでやってる時は喋り倒してやってるから、一人で黙々は疲れるのだねえ。
私も、一人で薪積むのはもう飽きた。
なので週末に番頭を呼び出してしまう。

紙仕事は一人の方が良いが、蒸し剥ぎやへぐりという単調な仕事は、話相手が居た方が疲れない。
もっとも、私は聞き取れない人なので、手が止まってしまう。
それでも相手が居ると疲れ方は半減するもんだ。

「もう寒いし5時回ったからあがろうよ、父ちゃん」
長太が車のガラスに鼻面くっつけてるのを見つけて・・。
「お前も待ってるのがいるよ、早う帰りなさい」
どこまでも、父ちゃんなんだなあ。優しいんだなあ。

今週末まで現場に行けないのが寂しいが、仕事しないとねっ!!
posted by ハレハレ本舗 at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記