若山楮「へぐり」作業完了しました。
12月頭に刈り取り開始して、一気にへぐりまでを連続しての、かなりキツイ段取りでした。
10年前に開墾して9年前に初めて蒸し剥ぎという作業をする地域の人達にいきなりイベントにまで仕立てたので、てんやわんや状態。
昨年から・・・。
だいぶ慣れたなあって思ったし、体験者へ教えるコツも掴んで来た皆。
助成金のおかげでここまで来れた。
なかったら間違いなく頓挫してたので、有り難いが現実の作業では邪魔なことも多かったんで、報告の義務も終了していよいよ自活の道。
これは私に取っては整理整頓できる大事な段階。
無数にあった余計な作業を全部すっとばしたらどうなるんだろう?というのが今回でした。
今日はあえて写真はありません。
毎年同じ写真ばっかりになるもんな(笑)
やってることは毎年寸分違わず同じです。
ただし、関わってる人達のモチベーションは毎年どんどん変わる。
それは写真ではよう捉えられない。
「おはようございます」と言ってた私が「おはよーさん」になった。
「それはいかん!わしがやる!」と私の頭叩くおんちゃんになった。
そういうの写真撮れないのよな。
この間、本場土佐市の大きな原料商さんが来られて驚いてました。
「白皮がこの1月早々に仕上がってるなんて、ここだけよ」と。
これには理由がありますねん。
地域の年配者でやってますが、どなたも自分の田畑山持ち。
若山楮は中山間で黒潮町の中でも比較的米農家さんは遅い方。
それでも南国なんで2月には田畑が始まります。
だから2月までに終えないと高齢者でさえ来てくれなくなる。
楮は儲からない。
「農閑期」の暇つぶしみたいな仕事であることは昔から同じ。
そこが、雪深い地域や田んぼやってない地域との違いかも。
なのでひと月で全部終わらせる、地域の暇人総動員してでも終わらせる。家に籠ってテレビ見てる80代来させる
大所帯だから一人一人の賃金はしれたもん。
ならば、せめて「このひと月が愉しかった、日頃入らなかった情報が得られた、若い人が沢山来て若返った」
そういうお金とは別の「付加値」が作業上に乗らないと誰もやらない。これとても大事。
商品に付加値ってのはあるけど、それを作る人への付加値大事。
なんか、こうやって書いても「地域起こしのテクニック」みたいになっちゃうのだけど(笑)
じゃーないんよね。うまく描けない自分が悩ましいのでもある。
お金も大事だけど、やって良かったという何かがなかったら誰もやらんと心底判ったし嬉しい。
酒には強いという自負があったが。。。
最初の頃呑み倒しながらやってたら75歳が早朝の私の枕元で一升瓶持って「おはようさん、ま呑むか?」って。
どひゃーだった。。。
今年の作業が終わった後、「いやあ、ほんまに愉しかった。なんやろ?ここの雰囲気!」と言った人が居る。
干し芋、みかん、餅、漬け物、ぜんざい、羊羹そういうおやつ。
他の地域、県外からのみんなもお酒やお菓子。
挙げ句には「宴会」
相当量の仕事こなしながら、体験したいと来た人も「ちゃんとやれよ!」と怒られながらもやったものは納品分に入れられるし(笑)呑み潰れるし。
皆なんなの?なんなの?と言いながら毎年突っ走ってる。おかしい〜!
それが楮マジックなんだよね。
昔はどこの家でもじっちゃん、ばっちゃんから孫まで総動員でやってた仕事。
プロもアマもない。
うっかり遊びに行ったら手伝わされた仕事だった。
それをそのまんまやってるだけ。
だけど白皮を作るというのは「紙」により近づくのである。紙を想像出来る方へ近寄るのである。
細い1本の中にヤケやカビあれば綺麗に落として、より白く美しい楮になるようにと想う気持ち。
それが大所帯の皆に伝染していくんだな。
言葉でああしろ、こうしろというより互いの仕事ぶりへのリスペクト。
これが調和を産み出して、仕事に行くのが愉しい場となる。
かかわってくれた大勢の皆の手と気持ちとしては過去最高の原料となったと自負してます。
あとは物理的な問題だけ。
これは私が頑張る。
紙漉が作る原料だということへの自信がやっと産まれた10年目。
そして新しい作業場が完成すれば間違いなく「紙」への意識に繋がって行く。
お互いを大事にする家族と同じ気持ちでやっていく。
10年かかったけど、意外と早かった。
5年目あたりが一番きつかった。
何がきついって、ぶれまくってる自分が定まらないきつさ。
そんなことお構いなしに黒潮町がサポートし続けて大勢の人が面白がってくれて・・・。
自分のブレの降り幅が年々中心へ。
感謝してもしきれないです。
2017年01月16日
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