2017年06月11日

苧麻

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繊維と聞いて今時の人は「食物繊維」をまず思い浮かべるんじゃないかな?と思う。
コンビニやスーパーでも「繊維たっぷり!」なもんが溢れてるからねえ。

さて、苧麻です。
別名からむし、ここらでは「ウラジロ」「ハド」など俗称が実に多い。
「ウラジロ」は見た目そのままで、葉っぱの裏側が白いから。
「ハド」は8回刈ってもまだ出て来るから。
そしてジツは楮の天敵でもあります。
苧麻が悪いのではなく、この葉っぱを食べて成長する「フクラスズメ」の毛虫が苧麻が足りないと楮の葉っぱへ移動して葉っぱを食べ尽して楮の生長を止めるからです。
楮と苧麻はセットというくらい同じ場所に居ますので、ある意味目の敵になってしまう。
紙漉でも楮農家でもない人は、楮ですら親の敵みたいに伐るけんど(笑)

できればこの苧麻を刈り飛ばした後、糸にできんかなあって毎年想うけど手が足りない。

高知へ来る前、西表の機織りさんの所でお世話になった時。
台風が来て船が出ず、やることなくて呑んだくれてると。。。近所の人が次々と苧麻の皮を持って来る。
「来たら最後全部処理するねんよ!」とその日から夜なべで外皮を・・・まさに「へぐる」作業が続きました。
その後の糸にする工程は見てなくて。。。

まさか自分がその後楮の「へぐり」に明け暮れるとは夢にも思わなかった。
今日裏の苧麻を刈り取って剥いでみました。
感じとしては今頃がリミットかなあ。
たった数本やっただけで指先真っ黒であります。灰汁が強くなってる。
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苧麻織りで有名な産地では楮と同じ様に「芽掻き」をするそうです。
2年前、苧麻の糸作りのワークショップで矢谷さんが仰ってた。
「芽掻きしたり肥料入れたりするけど、見渡せば日本の田舎にはそこら中にあるのよね」と。
これは楮についても同じ事が言えるのではないか?とそのとき思った事でした。
少なくともここら辺は楮だらけですから。
ただし、7年間くらい山や河川敷で自生楮を採る事をしてて思った。
全ての地面には所有者がいて、憎い楮が居なくなったら、そこに田畑ができたり道ができて、毎年貰う事は不可能で、私は掃除屋なのか?と。
理由を話しても「金にならん」で一瞥されてしまう。
鉄柵も張らず、生き生きとした楮を自由に採取出来る環境はもうない。
苧麻も同じ運命なんだろうなあ。

今宵はこれを処理してみて、上手にできないかもしれんけど・・・。
今年の暦の軸の紐にしようと思ってる。
紙は紛れも無く植物の繊維で出来上がってます。
そのことを何時にも増してこの頃とても思う。

1本の苧麻から紙にもなれば、衣服にもなる。
刈り取った先の工程で枝分かれしていくのです。
食物繊維だけじゃないよ。
ダイエットだけじゃないよ。
では内職に戻ります。愉しいね。
posted by ハレハレ本舗 at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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