
やってきました、この時期が!
卒業証書漉きです。
普通は工房へ来てもらうもんですが、私も最初の頃は来てもらっていた。
しかし、スペースがなく、ただ漉くだけでは漉いてない子が飽きる、遊んじゃう・・・。
そして、ただ漉くだけなら「簡単じゃーん」になってしまう。
15年くらい前に佐賀小学校の教頭先生がやってきて漉かせたいと。
色々話しました。
ただ漉くだけなら「伊野町の紙の博物館」の方が設備も整ってるし、なんなら「工芸村」もあるし、バスで行ってやった方がええのではないか?と。
私の所でやるなら全部の工程を少なくとも3日くらい通ってもらってやらないと意味がない。と申しました。
先生は「そうなんです、米作りも田植えと稲刈りしかやらないと簡単だと思ってしまって意味がなくなってしまうんですよね
本当は畦塗りや草取りやらをやらせないといけないのですが、なんせ子供達も忙しくて・・・」
ゆとりの時間が出来る前やったかな?とにかくご破算になってました。
それが佐賀小の熱血母ちゃん達が動いてなんとか漉くだけでも!と教育委員会にも頼み込んで・・・。
漉くだけを3年間やりました。
これじゃーあかんし・・・でも家の工房で1日で全行程は無理やし・・・。
3年前に東京で移動紙漉きをなさってる田村氏から「手伝え!」とのご指名を頂きました。
田村氏はこの移動紙漉というカテゴリーを創ってしまったという素晴らしい方です。
http://www.ijcee.com/hiroba/profile/tamura_tadashi.html東京の学校3カ所以上回ったかな?ひとクラス30人とかいます。
へぐりから始まって塵取り打開までやって紙を漉くのであります。
ちゃんと紙の歴史も話しますし、質疑応答まで!
言う事聞かない子には怒ります、本気で(笑)
朝始発に乗って帰りは11時とかだったけど、もう口あんぐりで、その流れの見事な事、移動にするための道具の見事な事。
素晴らしいですねというと
「そっくり丸ごと真似て良いからやりなさい」と・・・。
ご自分で長年かけて作り上げて来たスタイルをぽ〜んと明け渡しです。
紙漉というのは実は漉く事は簡単だと思います。
東京の「紙舗直」の坂本直さんにも始める前に言われました。
「紙漉きは子供でも出来る、大事なのはそれでどうやっていくか?半農、半漁とかの生活への覚悟はあるのか?」
だから、なかなか知り得たことを紙漉さんは教えてはくれません。
それがぽ〜〜んと。
なのでそのまんま遠慮なくやらせて頂いてます。
家の工房の何倍もある広い理科室や美術室。水もあるし、少々濡れても平気。
師匠と同じワンボックスの時は積み込みが大変だったけど、昨年から軽トラで楽チンです。
まあ、毎度思うのは「どんだけ道具いるんや〜紙漉」ですが(笑)
師匠と唯一違うのは紙干しは私が仕上げます。
なんせ卒業証書なんで厚いし、透かしが入ってるので・・・。

明日午前中が一年間楮を育て蒸し剥ぎ、へぐりと全行程をこなした拳の川小学校。
午後は伊与喜小学校。
2月1日が佐賀小学校です。
黒潮町の佐賀エリアの子供達です。全員蒸し剥ぎを体験しています。
半日でへぐりと塵取りと打開をしながら漉いて行きます。
それぞれの学校の校章の透かし入りの桁を持っています。
本当は他の工程もやらせたいけど、今の所これが精一杯です。
このスタイルなら何処へでも行けますです。
明日早朝に「とろろ葵」を濾して積み込んだら出発。
しかし、ここまでの準備に延べ1週間かかってまする・・・。
もうちょっとサクッとできるようになりたいけど、一年に一度で忘れてるよなあ、段取り。
蓋付きバケツが行方不明とか打開に適した材を薪にしちゃったで〜と焦ったり。
もうちょっと数こなさないとあかんですね・・・。