2017年05月08日

道具搬入

3月27日に建築検査を終えてたからが怒濤。
奥の山から採取して来た三椏や楮のリミットが来てて、刈り取って準備してあったので、竃の試運転を兼ねての
蒸し剥ぎを強行した。
やっぱり3月末はあかんよ〜。その後の乾燥時に雨、また雨でかなりのロス。
加えて竃の火力問題やら蒸し桶の上がり具合やら問題勃発。

建築中の写真です。
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ほぼ運び終えた本日
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漉き場
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原料置き場の屋根裏
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試運転して問題をクリアーしつつある平釜と羽釜のおくどさん。
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問題勃発で引越騒動の最中に出なくなった山水問題。
頭溶ける程に皆考えて、そういう苦労をクリアーした仙人みたいな移住者にお逢いしたりで。
番頭のじいちゃんの記憶が頼りになったりで。
結局問題をクリアーしてくれた人が未だに誰だか判らんまんまで。
ここまで来ると神懸かり過ぎて・・・・。
紆余曲折ありまくりで、今の所滔々と出てますが。。
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見に来た人がやっぱり気になる玄関のドアの取手は・・・。
この3年近く古い家を改修してやっとこの春移住して来た鉄の作家の「ツヨニー」に頼んで作ってもらった。
「WAKAYAMA KOZO 2017」と刻印してもらってます。
この工房は「佐賀橘川」ツヨニーが移住して来たのは「大方橘川」
私は自分の田んぼが「大方橘川」なんです。
平成の大合併で町内に同じ橘川。なので「佐賀」と「大方」が上につかないとややこしいと(笑)
つくづくご縁だと思ったんですね、今回。
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検査が終わらないと手も足も出なかったんで・・・・。
終ってからが怒濤でした。
20年以上ずっと同じ工房で増やすに任せてた道具類。
中でも重量級のビーターは麻やさとうきびの為に小さいけど半端ない重さでして・・・。
協議会の男衆や助っ人達の男衆や重機扱える人やなんやらの大騒動になりました。
日頃からどんだけみんなにお世話になってるのかを痛感する騒動になりました。
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もし幌馬車トニーにしてなかったら、この家の坂道さえも危なかった。
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もうダメかな?って思うと奇跡の若山楮ですから(笑)
あり得ないことが魔法の様に展開します。
それがそれぞれの「次」に繋がってるから凄いなあ・・・。
凄過ぎて自分の役割忘れそうで・・・

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工房の前は地主さんの一人である方の栗林。
向こうは植林のやまですが手が良く入ってます。
この山の麓にも三椏群生。
この眺めだけでも素晴らしい。
この隣の耕作放棄地で、トロロアオイと自給分の野菜と米と真菰を考えてます。
川に丸太置いたら「歩いて渡れば」全部となります。

ということで派手なお披露目は予算がないのでできませんが。。。
何やら企てようとは思います。


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2017年04月23日

良い事あるさあ。その2

今日も写真ないです。
スマホなんか使ってないしで一歩家を出たらアナログ環境。

昨春農地を返さないとあかんなって、若山楮の一番古い自生地畑の鉄柵を撤去した(メンバーにやってもらった)
その後すぐに平地の畑に苦労して移植した楮6年目をユンボで掘り返して、できるだけ畑へ移植した。
これらは、元々はハレハレの畑から来た子達なので、元気な株は18年目。
ダメになったのもあるけど楮は逞しく8割は新しい畑で根を張りました。
返してくれという地主さんが
「楮は一度植えるとはびこって元に戻せなくなる!」って怒ってたんだけど。
既に鹿の食害が始まってるんで。
「大丈夫鉄柵外したら、鹿が綺麗に根絶してくれるから!」と言った。
実際、掘りそびれた株は次々を鹿に食われてダメになっていく。
楽と言えば楽なんだけど、心中複雑とはまさにこのこと。
見事やなと感心してたら。。。
昨年の6月頃から、返さなくて良い一番古い斜面の楮まで食い始めた。

鹿の被害は春の芽吹き(うさぎもある)次に6月、それでも芽を出し伸びようとしてる9月の3回。
ある意味若山楮のシンボルでもある、自生地だけはなんとか守りたい。
なので、本日鉄柵作業。
ここ5年間ずっとやってて、もういい加減終りにしたい、どかちん作業です。
番頭おらんかったら、投げ出してたとも言える作業。


で。。。
川向かいの畑で今年から自生楮を「育てて売ってくれる」栽培者2号のおんちゃんが居る。
何やら杭が沢山打ってあるので番頭に通訳頼んだ。
「それは楮ですか?」
「これは花です」
「楮はどうですか?」
「40株ほどありますよ」
「今年は芽吹きが遅いですが?」
「2年以上のもんは花が咲き出しましたね、伐ったのは2週間程遅いですね」

うわわ〜かなりの観察力です。
植物、樹が好きなのが伝わってきます。
最後のやりとりが良かった。

「可愛がって育てますよ〜」と川岸から。
今日も「続けてれば良い事あるさあ」でした。
お昼の弁当は山からせり出してる楮の大木の下で。
櫻の花見もええけど、楮の花見もええですねと。

楮が好きな人は、どんだけ優しい人が多いんだろう・・・。
posted by ハレハレ本舗 at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 楮栽培復活事業

2017年04月22日

良い事あるさあ!

毎年、毎年、ほんとにもうゲップが出るくらい
楮にはじまり楮におわる生活。

FBや自分のブログを見てても、殆ど4月の今頃に今年の楮畑が始まりました!とある。
人工的なミニチュア植物をテラリウムに植え込む仕事は長かったけど、草抜きひとつやったことのない都会者。
高知へ来て畑にはまり、草刈りにハマって、何時の時期に何をするのか?を3年日記帳につけ始めた。
櫻が咲いたら種蒔き準備。
彼岸花が咲いたら秋蒔きの準備。
近所の人が干し大根吊るし始めたら、そろそろ楮。
そんな風にメモしないと季節の追っかけができなかった。

日記帳は6年続けてたが、いつの間にか身体に沁み込み始めたので辞めた。
田んぼを手習いしだしてからは日記をつけるどころじゃなくなった。。。


毎年楮が芽吹く前に草刈りしようとしても追いつかない。
枯れてる様に見える株は、南国のここらでは既に草の中になってる。
草を刈れば、ホントに赤ちゃんの小ちゃい手みたいな葉っぱを拡げて出揃ってるのを見て毎年感動してた。
刈り飛ばさないように慎重に。
畑で「栽培」するようになって17年目。
最近は感動のメーターもさほど上がらなくなって来た。
ある意味当たり前になってしまってる。
芽吹いて来る事が判ってるからだ。
最初の頃は「出てくれよ〜」と祈る様な気持ちだったのにね。

今年は寒い。
草の勢いも待っててくれてる。
今日から草刈り。
「ああ、まだ出てないですよ〜良かった!」と安心して刈り始める。。。
番頭は手鎌で丁寧に。
私は草刈り機で。

サクッと株を見ると。。
「おお〜い!出てるぞ!要注意だなあ、やっぱり!」と番頭を呼ぶ。


今朝は雨が降ってた。
小指の爪の半分程でまだ閉じている様は産まれたての赤ちゃんが小さい手を握って丸まってる様で。。
多分、いや絶対、この芽は今朝の雨を受けてさっきでたばかりだよ?!
長年やってるけど、こんなタイミングは初めて。
まるで芽吹く音まで聞こえてるかのよう。。。

帰りの車中。
「いや〜良かった良かった!良いもん見れました〜」と2人してはしゃいでる(笑)
まるで赤ちゃんが生まれる瞬間に立ち会ったかのような感動!
種を蒔いて作る作物と決定的に違うのが。。
「楮の気持ち次第で人ができることは、ほんの僅かである、じっと芽吹くのを待ち、してほしいという声を聞く」
自分達が作るのではなく、楮に育てられてるのは私達の方だ。

やっぱり畑は愉しい、良い事は畑にある!
posted by ハレハレ本舗 at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年04月20日

花冷え

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晴天になれば日中の外は真夏日に近くなってきた。
しかし日本には美しい季節を表す言葉がある。
今年の櫻の開花は、なんだか、あっという間で愛でる暇がなかった。。。
特に山桜の満開のスローモーションが近くの山では殆ど無くて。
一瞬で咲いて散って、今は美しい新緑に。
山では藤が満開です。

この時期の寒暖差の激しい事。
強い風が吹くと一気に気温が下がる。
ここんとこやせ我慢して(薪使い切ってるし)寒いから夜はそそくさと早寝。
どうせ日中は新しい工房へ走ったりで家に居ないし、長太は「走る自分のベッド化」してる車から降りようとしないしで、ここんとこの移動生活でストーブの存在忘れてた。

今日は何が何でも紙加工の日。
どんより曇りで明日は雨。
晴耕雨読ならぬ、晴引越雨紙仕事な今月です。

さすがに家の中は寒くて鼻面が冷たくなって来たので薪ストーブ再稼働。
1日どこへも動かない珍しい日というのは、長太にとっては休日に等しい。
ストーブの横で手足延ばして長々寝そべる姿に、日頃の無理を申し訳なく思う。
長太はひたすら眠って定時に散歩行けよ!と促し、ご飯食べたらまた眠る1日。
私は紙の加工やPC仕事が捗ります。
久し振りのストーブは丸太入れて空気搾り切ってトロトロです。
やっぱり真冬じゃない、当たり前だけど。

仕事三昧なんで休日じゃないんだけど(笑)気分は、ここんとこの引越で落ち着かなかったから。
これから、手作り蒟蒻と鶏肉の煮物をストーブへ載っけて作業続行。
休日じゃないんだけど(しつこい笑)夕刻になってビールをば・・・。
溜まりに溜まってる屋内作業を今宵は存分に愉しむ。
長太にとっても善き一日でした。


posted by ハレハレ本舗 at 18:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 長太

2017年04月02日

新工房竃試運転

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本日若山楮和紙工房の新しい竃に火を入れました。
道具をまだ運び込んでなくて、あれ〜あれは何処?!みたいなバタバタながら。。。
竃が無事使えるか?がやってみないと判らない。
これが無事でないと全てはオジャンとさえ思ってたので、しかも楮も三椏も蒸し剥ぎするには既に時期を過ぎてる
無理難題を承知の上でやらせてもらった。

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4ヶ月前にはいつもの場所で大掛かりにやってたのを番頭と二人で。
可哀想に桶の上に被せるのも建築シート。

大所帯で大掛かりでイベントにまでして走り続けた若山楮蒸し剥ぎ。
それは、ひとえに金ないでもあった。
集落活動センターということで、泣いても笑っても今後こんなチャンスはない。
だけど、若山楮は儲からないし、今の時代はどんどん楮農家さんが高齢化して辞めて行く時代。
和紙の存在意義も本当にエッジを歩いてるのに。

うまく言えない。
関わってる大勢の色んな人がここまで創ってしまったとも言える「紙を創る工房」

今刈り取れるのは、そこらにのさばってる2年とか5年とかの楮。
固いし、整枝するの半端ない。
それを昼過ぎから突っ込んで4時間。
「蒸せてるかなあ、どうかなあ」と片手でウインチでカラカラと桶を上げる。
いつもなら「桶あげるでえ!男達来い!」と叫ばなくてはいかんかった。
まるで煮物の鍋の蓋を開けるみたいに桶を上げて。。。

夕方「蒸せてるかな?」と楮を抜いてみて。
まず私が剥ぐ。
次いで番頭にも1本。
まるで料理の味見と同じですねん。

「うわお!剥げます!ばっちりですよ〜!」と夕日に向かって剥いだ2本の皮。
「若山楮工房の最初の2本だああ!」

試運転無事完了しました!
お披露目とか餅投げとかは、これから協議して決めて告知します。
ここまでのあらゆる寸法や動線や、ひいてはここで何ができるのか?自分はどうしたのだ?という諸々。
これらが一気に吹き飛びまして、竃の前にへばりついて火力強くて。。。
睫毛と前髪と眉毛が焦げましたが、頭の中にスペースが生まれ、持ち前のチカラがごこからともなく沸いて来た。
数日前は正直もうダメかなって訳も無く思ってたのが嘘のようです。

明日明後日、剥いでます。
もう中毒ですね、蒸し剥ぎ。
やはり紙を漉くことの始まりの始まりはここにあり。
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左官屋の棟梁は「まだ改善の余地あり」と今日判断して明日また来てくれます。
メンバーの元さんも「改良の余地あり」と午前中付き合って帰られました。
井上鉄工の薪ストーブもこの2日火入れしました。
煙突から煙の出る姿は出来上がった建物が生き始めてる感じ。
ストーブひとつ取っても焚き始めたら、薪の事考え始めるし楽しいこと満載。
工房が生き生きと動く始めることにワクワクしてくる。
実際この2年近くかかってるので、ワクワク感死滅してるんではないか?と不安だったけど。
そんな不安は吹き飛んだです。

改善、大事です。それこそが息を吹き込む事なんだと思う。
みんなの本領発揮です。
100%完璧なんか無理ですし、そうやって愛着持ってもらえたら有り難いです。
自分的には、こんな苦手な事ここまでやれてもう充分ですわ。
やり切ったんで次行きます。
posted by ハレハレ本舗 at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 若山楮工房@黒潮町

2017年03月31日

藍染めの小判

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紙漉も落ち着かない合間を縫ってやってます。
3年振りに藍染めの小判。
小判は毎年暦の為に漉くので、なんだかんだで2千枚は漉いている。
A3サイズより少し大きめの耳付き。
若山楮を抱え始めた頃から、この小判で7枚綴りで手書きを始めた。
年々漉く時間がなくなってきてて、楮栽培に持ってかれてるこの頃。
お客様の「出来た時でええよ」という寛大な注文も後回しになってるここ数年。
新しい工房できましたからね!
もう本気で漉かないとまずいんですね!
私、楮農家ちゃいますねんね!
だけど、原料のことで10年近く学んだ事は大事で、それをしての紙漉きせんとね。

漉く時に少し多めに漉いて暦に使った後は「在庫してます」という・・いわゆる暦がサンプルとなる案配。
近くの山や川縁で採取した植物で漉くのは本当に淡い色。
布のように金属媒染すると、その金属が紙の中に残ります。
金属が経年劣化する御法度の紙。
布のように糸のように洗うということができない。
一発で染めて、しかも水の中で漉くので・・・。
塗れてるうちはかなり濃く染まってる様に見えて。。。
これも布や糸と違うのは・・・思いっきりお日様にて板干しするので(笑)

ここんとこ久し振りに漉いてる藍染めは、良く調べて買ってる藍液ですが。
漉いてる時は、深く沈殿して行く様な濃い色で。
漉き舟の中は紺碧の海みたいで。
これだけ蒼いんだけど、仕上がったら浅葱色に近いと思う。

ここんとこ「藍染め」ないんですか?のお客様が多くて(笑)
いや、ほんと、ちゃんとした藍染めやるなら藍を育てて自分で建てないとって思う。
色ってなんだろう?
良く染めるには実は雑味のない極上の「白皮」。
が。。。
この白皮加工の大変さを経て、それでも水質で変わる染め具合で。。。
こんなに手をかけて「白く」したのへ「色」を吸わせるときの・・・あれ〜!!みたいな(笑)
家は井戸水で硬水でアルカリが強くて、櫻染めもくすんだ色になるのです。
今度の工房の山水の水質調べないとな。
調べて、あれ〜っとなってもそれでやっていくしかないんだけど(笑)

弁柄染めで良く染まる(見本の布の半分以下になるのが紙なので引き算で)
濃くて発色が良い紙から売れて行く。


食べる事もなるべく足下って思うので、染料もなるべく身土不二なんだけど。
買ってる濃い色が受ける事を今日は考え考え漉いてた。
淡い色はだめなんだろうか?
自分の技術が足りないからなんだろうか?
ここらには、腐るほどの臭木があるのにねとか。
臭木の実で蒼出せるけど。。。とか。
布相手の染織家に聞いても紙への応用は限りなく薄い(笑)

売れる物を創ることと、自分のこだわりの境界線を今日は凄く感じながら漉いてました。
朝からかなりの垂直の雨。
マイナスイオンたっぷりだと思考は前向きに、しかも妙にハイテンションにはならず中庸的に。
夕方・・・。
ま、今日はここまで。

小判は慣れて来てるので、大きい紙に比べると「考え事」ができます。
染めの事、原料の事、工房の引越の事、これからのこと・・・。
一定のリズムキープが大事な紙漉きならではの思考とのやりとり。
雨だったからね、できたとも言える1日でした。
タグ:草木染め
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2017年03月28日

心の薬

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新しい工房の完成検査も終りました。
まだ、やることが残ってるので移れません。

今年に入って全くと言って良い程漉いてない。
此処数日寒いとはいえ、もう冬は逝ってしまった。
流し漉きの日々は後僅か。
春の畑作業も始まるし、何よりも三椏や楮の蒸し剥ぎラストも残ってる。
どれもこれもが生仕事で、始めたら一気にやらないとボツになる。

ここんとこもうかなり、かなり悶々状態です。
漉き始めれば、アレができない、コレもできないとなってるから。
仕事に手を出せないでいるんですね。
これは相当に辛い事。

もう見切り発車でもなんでも良い。
漉き始めました。
我が家の工房の竃も最後の仕事で、楮を煮ています。
もう原型留めていない竃。
18年間ご苦労様でした。
羽釜自体は外に竃があった時代からだと23年です。
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三椏は新しい工房の方で待ってます。
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仕事しながらの引越ってどうやったらええのか、もう考えても判らない(笑)
なるようにしかならんです。


久し振りに漉き始めたら。。。
深い溜め息というか・・・。
ここんとこの諸々苛々緊張が溶けて行く。
私には紙を漉く事が一番の精神安定剤なんだと改めて想う。
紙仕事は何よりの心のお薬です。
1日も早く落ち着けます様に!
タグ:手漉き
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2017年03月20日

井上鉄工の仕事

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高知県西南地方。
足摺まで1時間。
来た事が無い人はトロピカルな南国のイメージだと思う。
ところがどっこい、国道からちょい入れば雪こそ年に数回しか降らないけど早朝はがっつり霜。
海、国道、数歩も歩けば山という環境です。
寒暖差がとても大きくて、だからこその園芸県。
と、言い訳長くなりましたが、今回の工房の暖を考えたわけです。
工房での竃は全部薪を使うから、その流れで暖房も薪でやりたいし、この工房の周辺は「伐らないとあかん」
樹だらけだし。
ガソリンスタンドへはどっちに走っても片道15分。
高齢者集団なんで灯油代半端ない。
あ、長くなりました。

念願の四万十町の「井上ストーブ」入りました。
お父さんと息子さんで搬入設置。
しながら色々話せました。
「薪ストーブは楽しいし、えんやけど、薪の調達というハードルでなかなか伸びしろ拡がらない」とお父さん。
うん、すごくすごく判る。
薪がなかったらタダの鉄の箱。
そもそも「薪ストーブ」という発想は南国高知にはない。
海から3`の築50年の家の床めくったら「囲炉裏」跡が出て来た。
「まあ、寒い言うても皆家にじっとしてないから、夜に3時間程焚くって感じよね」
あ〜鋭いねえ。
しかし、若山楮は2ヶ月がっつり一日中です。
「薪入れる人決めておかないと入れ過ぎて大変よ」というアドバイスも蒸し剥ぎの竃で経験済み。
だからガラス窓にしてもらった。
決しておしゃれを目指した訳ではなくて、ストーブの中を見える様にしないと危ないという事。

今は伽藍堂です。
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これから順次紙漉の道具が入れば空間は全く変わるけど。。。
広い工房の中に鎮座してるストーブの存在感。
自分達が快適に暖かく仕事するには・・・薪が必要。。。。ならば伐って来よう。。
結果周辺の山の姿が変わって来るはず。
そういう意識が過疎問題には大事だと思うよ、って私は思ってる。

無理難題をお願いした釜の蓋。
「鉄ってのは錆びるんだ!」

錆び止め塗るけど錆びるよといわれた。
鉄錆御法度って言われる紙の仕込みなんだけど。。。
ステンレスなんか無かった時代どうしてたの?って思う。

私があーでもない、こーでもないって言うと。。
「重たいよ?かなり重たくなるよ?」ってお父さん。
「でも、今使ってるのは全然ダメなんよ、それに立ち位置が全く違うから持てる!」
で、来たのがコレ。
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取手のバランスが最高。色も黒しか想像してなかったら、こんな微妙な心憎い色!
持てるか?と心配そうだったが、がっつり持てた。
壁がない竃なので吸い付く様な蓋に惚れ惚れ。

頑丈、機能、これは当然だけど。。。
センスだよなあ。。。

ということで現場は終了してますが、予算無くての建具のニス塗りを黒潮町応援しんさんの手借りて続行中。
建具にニス塗りしながら「この大きなガラス建具の掃除やらないとねえ」と溜め息。
工房内、外、この出来立てをどこまで維持出来るかは掃除に係ってる!!
だからニスが1滴、桟に落ちても拭き取る。
後々の掃除の事考えて。
先週までは作業の動線のことで頭パンクする程でしたが。。。
こうやってニス塗りすることで、「日々」の何気ないことにまで頭が行く様に。
あとひと息です。

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2017年03月16日

工房建設ラストスパート

3日ぶりなんですが。。。足場が外されていました。
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道路側。
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川側。
建具が入りました。
トタンの屋根、壁面も悩んで相談しいしい決めた色。良いです。
色はほんとに大事で大きな壁面になるほど大事だなと今回。
中から見るとこんなん。
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入り口です。
木のドア。

年間で一番寒い時期に根を詰めた作業を平均年齢75歳がやります。
そこへ、若い人達も参加するし一日中ここでがっつりやります。
雨風凌げれば良い・・・・のかもしれない。
だけど少しでも心地よい場所なら人手の無さも「あそこで仕事するのは気持ちええよ」と噂になってほしい。
人が集まりたくなる場所にしないとって思った。
誰だって農具置き場みたいな倉庫でやりたくない。
しかも低賃金だし(笑)
誰だって気持ちよいほうがいい。
金無し、若者なし、地域に関心無しの無い無い尽くしに、「これから」の拠点を創るなら。。
デザイン、とても大事だと思うのです。
凄〜く大事だよ。若い人達に過疎へ来てもらいたいならデザインはとても大事!きっぱり!
頑張ったんだけどね〜それでも今回随分と割愛になりました(笑)
ほんとに土台だけって感じだけど、ここから始めれば良い。

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左官トリオ頑張りました。ほんとにありがとう。
前回予算が尽きて煙突が買えず、苦労したのを覚えてて、立派な煙突つきました。
今だから言えるのですが。。。煙突の足元から炎が上がったもんね、一発目(笑)
何事も「最初」は完全じゃない。
いや永久に完全てないんだと思う。

そして今日嬉しい報告!
無事山から水が流れましたよ!と。
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ああ、どっとどっとチカラ抜けました。
井戸水生活はポンプアップだからスイッチ押せばジャーと出る。
そんな生活24年。
まあ、蛇口ひねれば出る的な暮らしです。
それが高い所から水を高低差だけで引っ張って来ることへの不安はとてもあった。
そんなこと自分がやるの初めてだからねえ。
メンテナンスも、男友達のブログとか見てるとかなり腰が引いてた。
真冬に詰まった取水口へ行く為に川を胸まで浸かって渡る。。。いや私絶対出来ない。
延々と道なんかない山を何`も上がるとか。。
実際この工房の上で水採ってる人は10`上!年に数回行くよ〜とか。。
上等な水は欲しいが、できないことはできないという矛盾をワアワア言うてる私見て。。。
見事メンテ最低限を架設してくれました。
日頃から「欲が深すぎるんじゃ、身の丈にあったことせい」って言われてる。
だからね、今回は「山の中行けません〜」という身の丈にあったことを言ったんだ(笑)
それで「やれませんね〜」なら諦めたかもしれないけど。。
まあ相当に諦める気なかったからねえ私。
一番頑張ったことはこの黒パイプを通ってくる山水のこと言い続けたことかもしれない。
勿論井戸水は良いです。
夏はキンキンに冷たくて冬はお湯みたい。
冬の紙漉き楽でした。
「山水は冬は半端無く冷たいぞ!」と今から脅されております。

無理難題を受けて頑張って下さった担当の方々。
いやもう本当に無理ばかり言いました、ごめんなさい。
でも、ありがとうございます。
必ずや、これで良かったという結果出して行きます。
実は完成してからが大変なんだわ(笑)
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2017年03月13日

ソフィー

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2001年の12月から3ヶ月家に紙の事勉強にベルギーから来たソフィー。
今日思わぬご縁で16年振りに再会しました。
5年前から知り合って、嬉しいお付き合いをしてくれてる土佐清水のアーティストの小高良作君が連れて来たのです。
彼の噂はだいぶ前から知ってたけど、出逢いはやはり若山楮に参加してくれてから。
そしてソフィーとはヨーロッパでの個展でやはりご縁が重なっての出逢いをしてて。
8年前に流暢な日本語を話すソフィーから私の事も聞いてた。
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そのソフィーが来たのです。
16年という時間を今日はとても嬉しく感じました。
まだ30そこそこのソフィーと40そこそこの私。
毎日宴会状態の中で静かに仕事するソフィーでした。
今思うと、あーすれば良かった、こーすれば良かったって思う事もあって再会するまでの数時間後悔もあってとても緊張したのです。
だけど、逢って今やってることを互いに話し、私は完成間近の工房を見てもらって。
「みーちゃん、良かったね、よかったね。とても嬉しいよ」と。
私もソフィーが野菜を作って生活してると写真集も見せてくれて、自然農法で美しい畑の姿や電気の無い暮らしをしてる風景の美しさに、「良かったね、良かったね!」と。
一瞬で溶けて、かつて一緒に生活してた頃に戻った。
多分話し込んだら何日も必要。
旅をして、日本が大好きで、でも日本の変な所も結構見抜いててソフィーはビジョンを探してたんだと
今になって思い至る。
野菜と果物があれば幸せな人だったと想い出し
今はそれを自ら育てて暮らしてる。

お互いに一番好きな事(決してらくじゃないよとソフィーは言う、そういうところも彼女らしさは変わってなかった。日本の人はなんでもっと問題点を言わないのかなあって言ってたなあ)
で生きてることへの「良かったね!良かったね!」なんだと思う。
いやもう、喧嘩もしたし、泣きながら互いの思いを言葉の壁もありながら鼻水、涙でやった16年前。
今日はそれでもこうやって再会できた。
次はソフィーの畑を本当にこの目で見たいと思うよ。
とても調和のとれた美しい畑。
小川が流れてて子鹿も来る畑。

16年の間に辛い事も一杯あったと思う。
私もあった(笑)
だけど今、今のこの時点で一番好きな暮らしができてることは言葉なんかでは尽くせなくて
この今の大事さをとても嬉しく分かち合えたって私は想う。
頑固でやりたいことがはっきりしてると物事との人との衝突もある。
それは辛い事なんだよ。
本人が望んでそうなるからじゃないから。
それでも、そういう流れに逆らうことなく、ようやく自分の足下ができたのかなあって思う。

そして良作君との不思議な不思議なご縁です。
出逢うべくして出逢うってこういうことなんだと思う。
自らも楮を育て紙を漉き染めの技法を使って作品を創る暮らし。
彼の仕事は日本より欧米の方が高く評価してる。
そんな人が高知の西のはじっこの山の中にいる。
ファーマーになったソフィーは2月3月くらいしか旅する時間がないというのに。。。
こんな端っこに。
まさかの良作君に連れられて「土佐入野」って駅は良作の家とどれくらい?と判らなかったらしく。
今日逢えて「ああ、そうなんだね!」

来年若山楮10周年なんです、開墾から言うとね。
私の中で大きな節目と思ってたら。。。
ほんとに、ほんとに大事なことが向こうからやってきます。

タグ:居候
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